イブキの短編小説

1000字短編集・素朴な暮らしの欠片を拾う

2021-09-19から1日間の記事一覧

微笑み地蔵【短編】

夜九時を過ぎて駅前のスーパーの客足も遠のいてきた頃合いだ。駅から出てくるサラリーマンは皆一様に満月を見上げ、顔を綻ばせてから家路に着いたが、私は眼下に広がる幾多もの"たこ焼き"の見過ぎで、円形に辟易としてしまって、月など見る気が起きなかった…