イブキの短編小説

1000字短編集・素朴な暮らしの欠片を拾う

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「大学」というところ

近頃、多くの大学生がこんな事を口にする。「バイトが忙しすぎて大学の課題に手を連れられない」と。本来大学とは、特定の学問に興味を持った者が、学問的興味を満たすため、又は学問的興味を将来の仕事へ還元するために利用する学術機関であったはずだ。そ…

天秤【短編】

夫は瞳に水分を含ませ「もう勘弁してくれ」と力なくつぶやいた。 それはそっくりそののま私のセリフであり、せめて夫の手に握られた女性物のワンピースを床に置いてから話は出来ないのか... 妻は動揺を堪えながら「とりあえず下に…」とこちらもまた力なく呟…