イブキの短編小説

1000字短編集・素朴な暮らしの欠片を拾う

2021-09-18から1日間の記事一覧

宇宙船【短編】

息苦しく縛られたネクタイを、仕事の重荷と一緒に緩めると、人の息を含んだ生暖かい酸素が肺に滑り込んだ。鬱屈した空気が漂う街も、平日最終日となるとどこか陽気さと開放感を持っていて、店たちのギラギラとした照明もいつになく華やかだ。眩しい光から逃…