イブキの短編小説

1000字短編集・素朴な暮らしの欠片を拾う

2021-10-20から1日間の記事一覧

次こそ死神【短編】

六月上旬、その日は久々の晴天で、雨雲を押し退けた太陽がアジサイの上の水滴を宝石に変えるような気持ちの良い日だった。下校する中学生の声はいつにも増して興奮気味である。この町のK中学校で中間試験の結果が返されたのが学生の熱気の理由だった。試験か…